車輛には、
僕の他ほとんど人はおらず
いつもの人混みがまるで遠い日の思い出のようです。
外の景色を見るということもなく
ただひたすらに
ガタンゴトンとリズムのよいレールと車輪の
鳴らす音に頭の中を支配されながら
じっと座っていると
なんだか急にこのまま見ず知らずの場所へ運ばれていくのではないかと言う
よくわからない不安に駆られました。
視界の外で通り過ぎる街の明かりが
ことさらに僕をまだ見ぬ異界へ連れてきたかのような
哀愁の漂う色をして僕の中に入ってきます。
乗り物に乗ったり、トンネルを抜けるという行動が
どこかここではないどこかへ通じてるんだと思うことがあります。
5/05/2007
行き先
5/02/2007
回来了!
桜もすっかりつややかな緑色の葉に入れ替わり
日中のお日様のあかりにつやつやと照る色々なものが
濃く力強くなってきました。
地下鉄の駅の階段を下りる途中、
壁に張り紙がしてあるのが見えました。
「今年も帰ってきました!」
何やらそんな文字が書かれています。
その上を見やると、
壁の本当に上の上に、つい立ての様な金具が2つ。
そして、それにかくまわれるようにして乾いた茶色いもの。
そこからはみ出てるつんつんした尾。
つばめです。
こうしてまた、この場所に戻ってきたようです。
親鳥が餌をくわえて戻ってきました。
しばらく彼らと朝をともにする季節がまたやってきました。
巣立ちまでの幾日、僕も上を見ていこう。
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