目を開けるとあたりはすっかり暗くなっていた。
ベッドからのそっと這い出し、宿を出る。
旅館や民宿ではないので、
もちろんごはんなど出て来ない。
むろん、それは僕が望んでることでもある。
つたない海外経験をして、
その魅力にハマってしまったのもあるけど、
所詮、閉じ込められた中でなにを見ようがしようが
それじゃ全然面白くもないしかじったことにすらならないと
青いながらに思っているんです、一応。
しかし、いくら八丈島が伊豆・小笠原諸島の中で
一番大きな島と言っても、
島の人は基本家での食事が前提なので
(ここが日本らしいと言えばそんな気もする)
事前にご飯を食べるとこを調べてみたものの
やはりそんな多くはない。
そんな中でまず選んだ一軒。
「八丈島郷土料理 梁山泊」さん。
選んだ理由なんて言わずもがなですよね。
宿からお店が集まってるエリアまでは
歩いて15分くらいだったかな。
さすがに集落から離れた宿だったので
けっこう歩いた記憶が...
ガラガラ〜っと戸を開けると
中はお客さんでかなりのにぎわい。
人差し指一本立てて必死にひとりをアピールすると
入り口にもっとも近いカウンター席を案内してもらえた。
さて。
席に着けたのはいいもののココからが大変。
いかんせん重度の優柔不断なので
オーダーが決まらない決まらない。
たまりかねたのか、
店員のお姉さんが注文を取りにきてくれた。
『ご旅行ですか?』
この言葉に助けられ、
『あのぉ、実は島のものを食べたいんですけど...』
と、話をすると
少しして若大将とおぼしき人が
『それでしたら、少しずつでお出ししましょうか?』
と、ありがたきお言葉をかけてくれたので
思いっきりその言葉に甘えました。
で、ご用意していただいたのがこちら。
右手前から、
お刺身、尾長鯛の漬け焼き、隼人瓜と豚肉の煮物、ぶど、島たくあん、
飛魚のさつま揚げ、にょうげ芋、お通しのひじき。
にょうげ芋とは、里芋のこと。島ではそう呼ぶそうです。
添えてあった酒盗をつけるとこれまた絶品!
ぶどは、カギイバラノリという海藻を煮だして寒天状に固めたもの。
磯の香りいっぱいで思わずにっこり。
尾長鯛は、ここらへんでは馴染みがあるそうですが
漁獲高があまり高くないのか僕は初めて食べました。
高級魚と言われたのも納得の旨味と脂のノリにうっとり。
お酒は、もちろん島のものを。
ですが、八丈島には現在4つの島酒を醸すお蔵さんがありまして
それを端から行くだけでも大変なのであります。
(八丈興発,樫立酒造,坂下酒造,八丈島酒造)
ちなみに。
実は、もう一つ磯崎酒造さんがいらっしゃったのですが
惜しまれつつも数年前に廃業されてしまいました...。
一人で来てるからなのか、
店員さんが何かと気を使って話しかけてくれたりして
美味しいお酒とお料理とあいまって
かなーりいい感じに。
こうなると自分でも恥ずかしいくらいに良く喋る。
おかげさまで実に楽しい島での1日目を締めくくることが出来ました。