2/29/2012

秋川蔵元訪問②野崎酒造

近藤社長の車で、
次の訪問先、清酒「喜正」醸造元、「野崎酒造」へ。

あまりにも雪がスゴい為、
少し手前の「戸倉」交差点で降ろしていただく。

近藤社長、その節はありがとうございました。
(後日、NHKで拝見しました!)

が、
降ろしていただいたものの、
約束していた時間まで少しあったので
わずかでも暖をとりたく
交差点に面しているコンビニに入る。

さぁ!
いざ、野崎酒造!
いざ、その門の中へ!



と、門の写真を撮っていたら
雪かきをしていた奥様に出くわしてしまい
「こんな日にわざわざありがとうございます。社長〜!」

なんて感じで、心の準備などもできぬまま
あれよあれよと言う間に客間へ...

野崎社長、実は新店舗オープンなどの折などにも
お越しいただいたり、
昨年の秋にひょっこり自転車で来てしまった時に
応対していただいたりもあったのだけど、
こうして正式に訪問するのは初めて。

それまでは、
実に控えめな人だなと言う印象があったのですが、
話してみると
そんな印象はちょっと改めざるを得ないほど。

訥々とした語り口ながら、
実に濃い内容をお話し頂きました。

そして、蔵の中へ。

造り自体は終わってしまったものの、
運良く大吟醸の搾りに立ち会うことが出来ました。

しぼりたてのお酒をきかせていただくと、
まだまだアルコール感は強いものの
素晴らしい芳香と旨味が口いっぱいに広がりました。

これは実に楽しみ♪
(ちなみに、見事今年も金賞を受賞されました!おめでとうございます!)

そういえば、
説明の中の「搾り」の部分で、
ちょっと聞き慣れない言葉が...
ヤブタのことを指して説明していただいた時に「エネスケ」って聞こえて、
「???」と思ったんですが、
調べてみたところ、ヤブタというのは
薮田産業(株)が販売している醪圧搾機の通称で
それ以外に、NSKエンジニアリング(株)が販売している機械もありまして。

因みにコレ↓



....「エネスケ」→「NSK」だったみたいです(照)
なんて聞き間違い!

そんな野崎酒造さんのお話の中でとても印象に残ったのが、

・基本県外には未出荷
・8割が地元消費
・地元以外はごく一部の地酒専門店のみ

というところ。

地元の人に喜ばれるお酒でありたい、
だから、それ以外の人たちを意識した商品を作ろうとは考えてない。
海外も然り。
今の規模が質を保てるギリギリのライン。
これ以上、杜氏や蔵人に負担をかけていいものが出来るとは思わない。

そんなお話を伺った時に、
ふと、あの「十四代」蔵元の高木辰五郎氏のお話を思い出した。
氏曰く『分をわきまえないといかん』と。

質と量のバランスはいかなる製造業にもつきまとう問題。

あれだけの人気銘柄になってしまった「十四代」をして、
地酒が地酒である為に、それを産み出す人間のキャパ(杜氏、蔵人)を越えてまで
増石するのは、そのアイデンティティを自ら墜す事になるというのだ。

如何に需給のバランスが崩れようと、
質を落としてまで広く届けたところで
それは誰の為にもならない。

そんな氏の「足るを知る」お話を伺ったとき、
「十四代」がかれこれ20年近くもトップを走ってきた理由、
いまだ数多のスター候補が誕生しつつも
追い抜けない理由が分かったような気がした。

「十四代」の高木酒造は地元向けには「朝日鷹」という銘柄を展開しており、
野崎酒造は、地元向けだけの造り、また「しろやま桜」という銘柄を卸している。
この「しろやま桜」がこれまた美味しいわけでして...

少し主旨は違うけど、
昨今、
蔵の経営問題などの早期健全化などを見越してか、
一大消費地である東京を狙って
ものすごい数のお蔵さんたちが売り込みにやってくる。

でも、そこには
東京の人間(トレンド)に向けて造ったお酒たちが並び
本来消費していただくはずの地元への思いは見受けられない。
(実際、蔵の近所の人たちが大手のお酒を探しに来られるなんて話聴くと同情します...)
ラベルや名前や、味わいにしても
購買欲をそそるアプローチ、一口飲んで美味しいと思わせるその技術はたしかにスゴい!
ホントに日本酒と言うのは世界でも類い稀なる発酵技術の賜物だと感心させられる。
素直に美味しいと思うものがたっくさんある。
そんなお酒たちがこれからこの業界を牽引してくれるんだと思うと
ワクワクするし、その未来を共有したいし力になりたいと思う。

でも、
なぜか少し足元がおぼつかないな、なにか抜けてるんじゃないのかなと
個人的に感じてるところも正直あった。

そこに一本の堅い筋をビシッと示してくれたのが辰五郎氏であり、
僕は、同じものを野崎社長の言葉に感じたのであります。







東京に、
本物の地酒あり。






ちなみに、
見学のあとに話した中で、
「このあとは身体を温める為に温泉なぞへといこうかと...」と言ったら、
野崎社長のご好意で
車で「瀬音の湯」まで送っていただくことに!
なにからなにまでありがとうございます...!


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蔵元名:野崎酒造株式会社
代表銘柄:喜正
住所:東京都あきる野市戸倉63
アクセス:JR五日市線「武蔵五日市」駅よりバスで約15分?
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